毎年、12月下旬になるとトレンドにあがる「カニカニ詐欺」。「電話勧誘+送り付け商法」を合わせた悪徳商法だ。この商法の手口については広く知られているものとして、あれは、人間の強欲と思考停止という二大弱点を的確に突く、実に効率的な「愚者発見器」といっても過言ではない。私たちが同情すべきは、金を騙し取られた哀れな被害者ではない。自らの欲望に目が眩み、最低限の警戒心すら放棄した愚か者自身の存在だ。その本質と、弱者が生き残るための唯一の「対策」を、ここで説いてみたい。
この詐欺の本質は、驚くほど単純だ。それは「カニ」という、普段は手の届きにくいささやかな贅沢品を餌に、人間の判断力を麻痺させることにある。年末年始という人々が浮かれ、財布の紐が緩み、そして「贈り物」という口実に騙されやすい特殊な心理状態を、悪徳業者は完璧に利用している。電話口で「親戚の〇〇からカニが届きます」と言われれば、安易に「ありがたい」と喜び、確認を怠る者がいる。代金引換で荷物が届けば、「そういうものか」と疑いもせず金を払ってしまう。これは詐欺師が巧妙なのではなく、受け取る側が自ら進んで知性のスイッチを切ってしまっている。彼らは単にカニが欲しかったというより、「楽をして得をしたい」という、自身の甘い欲望を満たしたかったとの見方もできる。その欲望が詐欺師にとっては最高のビジネスチャンスとなる。
では、どのように対策するか。警察に相談する?注意喚起のチラシを読む?それだけでは不十分だ。人間の根源的な欲求や油断は、そう簡単に変えられるものではない。真の対策は、ただ一つ。自分自身が詐欺師の思考を理解し、それを上回る冷静さを身につけることだ。
「うまい話」は全て罠だと認識する
理由のわからない幸運など、この世には存在しない。それは全て、私たちを陥れるために仕掛けられた罠かもしれない。心当たりのない贈り物、安すぎる商品、それらは全て「疑う」ことから始めよ。
感情を排する
「親戚からかも」「断るのは失礼かも」といった感傷は、我々を破滅させる弱点になりうる。不審な電話は即座に切り、心当たりのない荷物は断固として受け取りを拒否する。一瞬の冷静な判断が財産を守る堅実な盾となる。
常に検証する
送り主とされる人物がいるなら、必ず本人に直接電話して確認する。そのわずかな手間を惜しむ怠惰こそが、私たちを餌食に変えるのだ。
カニカニ詐欺とは、現代社会における一種の淘汰圧と見ることができる。警戒心の薄い個人が狡猾な者に富を奪われる。ただそれだけの冷徹な現実だ。社会や警察への依存だけに頼ってはならない。自分自身が被害者となる環から抜け出す努力をすべきだ。疑い、拒絶し、検証する。この現実主義的な自己防衛術を実践できないなら、私たちは毎年、カニの代わりに冷ややかな現実を味わい続けることになるだろう。それが、厳しい世界のルールの一面なのである。

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