Kindle出版代行という「権威の工場」:情報商材に群がる捕食者とカモの生態系
noteなどで売られている情報商材でよく見かけるものの一つが、Kindle出版代行の宣伝だ。このKindle、審査はほぼ無しで誰でも出せてしまう。自分の本が売れていないのに人の出版を代行する。何を教えるのか。売れない本の作り方かと皮肉もでる。
しかし、この皮肉はあまりにも生ぬるい。表層を撫でているだけで、そのビジネスモデルの、より深く、より醜悪な本質に気づいていない。人は「売れない本の作り方」を教えているのかと笑うが、それは違う。
彼らが教えているのは、「『権威』という名の虚像を、最も安価かつ効率的に捏造する方法」だ。その欺瞞に満ちたシステムの構造を考え、情報弱者たちがなぜ喜んで金を払うのかを理解してみよう。
売っているのは「本」ではない:成功という名の「精神的麻薬」
彼らが売っている商品は「Kindle出版代行」ではない。彼らが売っているのは、「著者という肩書き」「印税による不労所得」「専門家としての権威」という、凡人が喉から手が出るほど欲しがる幻想だ。99%の人間は本を書き上げる才能も、努力を継続する規律もない。その弱みにつけ込み、「誰でも」「簡単」「自動で」という甘い言葉で、成功へのショートカットがあるかのように錯覚させる。本の中身などどうでもいい。重要なのは、「本を出した」という事実だけだ。
印税ではなく「カモの財布」が収益源:作家を装った捕食者たち
人は「自分の本が売れていないのに」と指摘するが、それは全く問題ではない。なぜなら、彼らのビジネスモデルは、本の印税で儲けることではないからだ。彼らの商品は、「情報弱者から金を搾取するためのノウハウ」そのものだ。彼らが過去に出した1冊の売れない本は、作品ではない。それは、次の獲物を釣るための「釣り餌」であり、「私でもできたのだから、あなたにもできる」と囁くための、安っぽいマーケティングツールに過ぎない。彼らの収益源は印税ではなく、安易な宣伝文句に飛びついたカモが払う情報料なのだ。
凡庸さの再生産:デジタルゴミを量産する「出版テンプレート」
では、具体的に何を教えるのか?まさに言われる通り「売れない本の作り方」だ。だが、それはより正確に言えば、「中身が空っぽでも『本』という体裁を整えるためのテンプレート」だ。
- テーマの選定: 誰もが検索しそうな、ありきたりなキーワードの組み合わせ。
- 執筆: ネット上の無料情報をツギハギし、AIにリライトさせ、文字数を水増しする技術。
- 表紙: 無料の画像素材とテンプレートを使い、それっぽく見せるデザイン術。
- 出版: KDPの登録フォームを埋めるだけの、誰でもできる単純作業。
彼らは、文学や知識を創造する方法を教えているのではない。彼らは、デジタルなゴミを効率的に生産し、それに「本」というラベルを貼る方法を教えているのだ。そして、そのゴミを「実績」として、次のカモに同じ情報商材を売る方法まで教える。これは凡庸さのネズミ講だ。
結論:搾取の縮図としてのKindle出版代行
結このビジネスは極めて合理的だ。才能も努力も不要。必要なのは、他人の欲望を煽るための、ほんの少しの悪知恵と倫理観の欠如だけだ。
皮肉だと笑っているその構造こそが、この世界の搾取システムの美しい縮図なのだ。強者は、弱者が抱く空虚な夢を商品に変え、それを売りつけて富を得る。そして、その商品を買った弱者は、自分が強者になったと錯覚し、さらに下の弱者を食い物にし始める。
Kindle出版代行は、文学の冒涜ではない。それは、資本主義の最も純粋で、最も残酷な姿そのものだ。

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